睡眠トリビア

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(1)毎日の睡眠時間で死亡率が変わる

睡眠時間が6.5~7.4時間の人の寿命がもっとも長かった、というデータがあります。
アメリカに住む男女約100万人について、睡眠時間と死亡率の関係を調べたところ、 6.5~7.4時間の睡眠よりも短くても長くても、死亡リスクが高まる、つまり寿命が短くなることが分かったのです(睡眠時間と死亡危険率の関係)。
この結果についてある人は、睡眠時間が長い人の中には、もともと病弱で寝ている時間が長くなりがちな人もいるため死亡リスクも上がっているのでは、という指摘をしています。確かに、他の調査結果をみても、長時間睡眠が必ずしも死亡リスクを高めるとは言い切れないようです。しかし、短時間睡眠の人は死亡リスクが高いという点については、どの調査も一致しています。

目覚めがすっきりしなかったり、寝つきが良くない人は死亡率が高い、というデータもありますので、長生きするためにも良い睡眠は大切だということですね。

(2)眠ろうにも眠れない時間が存在する

実は、19~21時頃は眠れない時間です。
健康な人の眠気にはピークがあり、15〜16時頃と22時頃に眠くなります(体内時計による概日リズム)。つまり、昼ご飯を食べた後に眠くなったり、夜遅くなると眠くなるのはごく自然のことです。
一方で、眠気が最も強くなる直前の19~21時頃は眠気が非常に少なくなります。この時間帯は「睡眠禁止帯」と呼ばれ、1日のうちで最も眠りにくい時間帯として知られています。この時間帯は頭がさえているので、どんなに寝ようとしてもなかなか眠りに入ることができません。
早起きするために一刻も早く眠りたい時でも、この睡眠禁止帯に無理に眠ろうとしない方が賢明です。

(3)眠気と食欲の意外な関係

古くから、「腹の皮がつっぱると目の皮が緩む」といわれていますが、大抵の人はおなかがいっぱいになると眠くなる、と経験したことがあるのではないでしょうか。以前は、消化のために血流が胃腸に集中し、脳に血が行かなくなって眠くなると考えられていましたが、近年の研究では、満腹感と眠気の間にはどうやらもっと直接的な関係があることがわかってきました。

食欲は脳によってコントロールされています。
空腹になると、脳はそれを察知し、食欲を増すホルモンを使って指令をだします。食欲を増すホルモンにはさまざまなものがありますが、とくに、【オレキシン】というホルモンは、食欲のほかに眠気にも関わっています。もともとオレキシンは、強力な食欲増進ホルモンとして発見されたのですが、その後の研究で、食欲だけでなく目を覚まさせる効果もあることが分かったのです。
つまり、「満腹だ」と脳が判断すれば、オレキシンが分泌されなくなるため、食欲が落ち、目を覚ましておかなくなる=眠たくなる、というわけです。

(4)睡眠不足は肥満を作る

睡眠不足が続くと、肥満になりやすいということが分かってきています。この理由は、まだはっきりとは分かっていませんが、食欲を抑える【レプチン】、食欲を増す【グレリン】などのホルモンが関わっていると考えられています。
実際、睡眠不足の人は、レプチンが低下しグレリンが上昇、つまり食欲が増加するようホルモンが働くようです。このように、睡眠不足は肥満を作る要因の一つであると考えられています。

[図:睡眠時間とホルモンの関係]

(5)快眠にも「頭寒足熱」がてきめん

「頭寒足熱」、すなわち頭を冷やして足を温めるという状態は昔から健康にいいとされています。下半身を温めることで全身の血液やリンパの流れが良くなり、老廃物の排出が促され、疲れやむくみがとれやすくなると考えられるからです。実は、良い睡眠のためにも「頭寒足熱」は効果的です。
「頭寒足熱」状態を作り出すには、40℃前後のぬるめのお風呂でゆっくり半身浴をするとよいでしょう。これによって、深部体温が下がり、良い睡眠を得られやすくなります。また、眠るときに湯たんぽなどで足を温めることもいいでしょう。
手足の冷えは睡眠の天敵です。快適な眠りのためにも「頭寒足熱」を実践してみましょう!

(6)「時差ぼけ」の解消には朝の光を浴びよう

せっかくの海外旅行なのに、時差ぼけで満喫できない、海外出張で到着してすぐに会議に出席しなければならないのに、時差ぼけではうまくいかないことがある、など時差ぼけはよくない影響ばかりもたらしますよね。
私たちの生活リズムは、体の中にあるいくつかの体内時計を調和させることによって作られています(体内時計のしくみ) 。

時差のある海外に行くと、自分の生体リズムと周りの環境や時間との間にズレが生じるため、一時的に体内時計の調子が乱れます。これがいわゆる「時差ぼけ」の状態です。この状態では、体温を上げたり下げたりするリズムが環境の変化に対応しきれていないため、現地時間の夜になっても体温が下がりきらず、眠いような気がしても寝つけない、寝たとしても眠りが浅い、という症状が出やすくなります。

時差ぼけを治すには、朝、太陽の光を浴びる、決まった時間に食事をとる、といったリズム調節効果のある行動を規則正しく続けるとともに、寝る数時間前に40℃前後のぬるめのお風呂など、体の内部からもリズム調節を促すようにするとよいでしょう。

(7)寝ている時にも頭は働いている?

寝ている間に脳は大仕事をしているようです。

睡眠には深さの段階のほかに、眠りの質の違いもあります。これは、レム(REM)睡眠とノンレム(non REM)睡眠とよばれています。レム睡眠とは、Rapid Eye Movement(急速眼球運動)の頭文字をとったもので、文字通り眼球が激しく動いている眠りをいい、眠りが浅い状態です。人は眠っている間に何回かこのレム睡眠を経験しています。ノンレム睡眠は、レム睡眠ではない睡眠を指します。

レム睡眠は、「大脳が活性化するための眠り」と言われ、この間に記憶を整理して学習した情報を定着させたり、不要な情報を消したりしていると考えられています。
一方ノンレム睡眠は、「大脳を沈静化するための眠り」と言われ、脳の活性は低下しています。このとき、子供では体の成長、大人では体の組織の修復が行われていると考えられています。

脳は寝ている間にも働き続けて、翌日の体のための準備をしてくれるのです。

[図:睡眠の種類と体の変化]
                レム睡眠/ノンレム睡眠
眼球の動き:速い/入眠時に遅い運動が見られる|筋肉の緊張:著しく低下/中程度の低下 除派睡眠では著しく低下|
心拍数、呼吸:乱れる、速くなることも多い/遅い|血圧:乱れる、上昇することも多い/低下|胃酸分泌量:増加/減少|
発汗:なし/あり|大脳:活性化/鎮静

(8)寝だめができないのはどうして?

[図:睡眠の段階と眠りの程度]
                段階1:まどろむような浅い眠り、
                段階2:軽い寝息をたてる程度の眠り、
                段階3:名前を呼んでも目覚めないほどの深い眠り。、
                段階4:よほど強い刺激でないと起きない。デルタ波といわれる脳波が出現し、波の割合が少ないのが段階3、半分以上になった状態を段階4という睡眠には深さとサイクルがあるからです。
睡眠の深さには段階があり、一晩でいろいろ変化していることがわかります。
人の睡眠は90分単位で変わります。まず、段階1のごく浅い眠りから始まり、ノンレム睡眠を経てだんだん深くなり、また浅くなって再び段階1になるころ、レム睡眠という睡眠に入ります。通常、眠りに入ってから数時間は、この深い睡眠を含んだ変化を2、3回繰り返しますが、やがて深い睡眠は現れなくなり、段階1と2の睡眠を繰り返すようになります。
10時間の睡眠をとったとしても、最後の数時間は浅い眠りを繰り返すのみとなるため、単純に5時間睡眠の2倍の効果がある、というわけではないのです。

(9)眠るためには体温を下げたほうがいい?

赤ちゃんは眠くなると手が温かくなりますが、これは眠りに入るための体の準備なのです。
一般的にかぜで熱が出たときなどに測る体温は、体の表面の温度です。体の内部の体温は、深部体温と呼ばれ、覚醒度と密接に関係しています。深部体温は、日中は高く、夜は低いという1日周期の生体リズムを持っています。つまり、深部体温が下がり始めると眠くなり、明け方に上がり始めると目が覚めやすくなる、ということです。
赤ちゃんの手が温かくなるのは、体の表面が温まることで熱が放散されやすくなり、深部体温を低下させると考えられています。赤ちゃんほどではありませんが、大人でも、寝る前は体の表面の温度は上がります。
深部体温が下がりきらないと、深い眠りやレム睡眠が減少し、夜中に起きてしまうこと(中途覚醒)が増えます。そのため、40℃前後のぬるめのお風呂軽い運動などで、体の表面の血行を良くし、深部体温を低下させることが良い睡眠につながるのです。

覚醒度と体温の日内変動図
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